かさの読書記録

すぐ忘れる読書記録 https://youtube.com/channel/UC7XFIu9p2yWXtmrvuYxlwAg

逆ソクラテス 伊坂幸太郎

子供が主人公の短編集。短編集ではあるが、伊坂らしい作品間のリンクもある。
子供が主人公とはいえ、子供向きの作品ってだけではない。大人が読んでも最高の読後感。そして子供にも安心して読ませられる本だ。
この本を読んでいて、何度も「こんな子供でありたかった」と思わせられた。そして、子供から見た大人も「こんな大人になりたい」と思うような大人が登場する(自分はもう大人だが)。
かといって、単純な勧善懲悪の話ではないところが、さすが伊坂作品。

大学4年間の国際政治学が10時間でざっと学べる 小原雅博

自分は高卒だが、大学ではこんなに面白い授業が受けられるのかと思うと大学生っていいななどと無責任に軽く考えた。しっかり学ばなければならない学生さんと、気楽に読書を楽しむ自分はくらべものにもならないだろう。何を比べるのか知らんけど。
日本の安全保障とか外交には興味があったけれど、その以前の理論や歴史をざっと学べて、これからにわか知識で「ネオリアリズム」とか「ネオリベラリズム」とか使っちゃおうと思った。使う相手いないけど。
中国の超音速飛翔体は、現在のミサイル防衛では迎撃が不可能なんだそう。日本はいつも遺憾砲しか打たないと憤っている人は、もっと日本さんに力を持たせてみては・・・?

夜明けのすべて 瀬尾まいこ

PMSの藤沢さんと、パニック障害の山添くん。
お互い、自分の事よりも相手の事の方が気づける、何だか良い関係。
作者の瀬尾さんも、パニック障害だったと記憶している(ダヴィンチで読んだ気がする)。だから、山添くんのパニック発作に対する恐怖とか読んでいて怖くなってしまう部分もあったが、読後感はさわやか。
藤沢さんにイライラしながら最後まで読み進めたのも、山添くんがしっかり藤沢さんにイライラしてくれたからだと思った。山添くんのターンがなかったら、途中で放棄しちゃっていたかもしれない、藤沢さんの人をイラっとさせる能力(そう感じるのは、自分に似ているからかもしれない)。

そういえば、同じ作者の「天国はまだ遠く」も、主人公にイライラしてこちらは結局最後まで読めなかった。
同じような人がいないかと読書メーターで感想を漁ったが、みんなイライラしていなかったので、小説を読むのは難しいなと感じた。

おしゃ修行 辛酸なめ子

ハイブランドなるものに全く縁がないので(某ユニクロですら高いと思っている)辛酸なめ子氏の持っている服のブランドがほぼほぼわからなくて一瞬辛酸なめ子氏を遠くに感じたのだが、そのめくるめく自虐と漂う軽めの悲壮感がやはり辛酸氏を身近に感じさせてくれる一冊。服屋の店員からそこそこ酷い扱いをされていても、それをネタに出来るのだから強い。おしゃれ修行というタイトルだが、最終的に彼女がおしゃれになるようなゴールではない。笑った。

その話、諸説あります。 ナショナル ジオグラフィック編

最初にお断りしておくと、この本に正解は書かれていない。

こんな冒頭の文章から、最後のページまでワクワクしながら読み進めた。世界史、日本史、科学などの諸説が紹介されているのだが、特に興味を持ったのが科学かな。いや、宇宙、いや、世界史も良いな。諸説あります。知っている説、知らない説に関わらず楽しく読んだ。子供の頃、初めて都市伝説の本を読んだ時に感じた高揚感にも似た感覚を久方ぶりに味わう。面白過ぎて、ナショナルジオグラフィックの他の本も読むことを決意した。イラストもとても良い。

奇跡の論文図鑑

NHKをぶっ壊す、というフレーズ、まだ小学生の中では流行っているようだ(一部小学生)。コロナ禍において、受信料を半額くらいにしてもいいんじゃないかNHK。と、複雑な気持ちを抱きながら読んだ。この番組自体は見た事がないのだが、MCをやっていたという田村淳は最近左寄りの発言が多すぎてげんなりしているので知っていたとしても見なかったかもしれない。という、内容には全く関係のない蛇足。

イグノーベル賞的な、ばかばかしい論文だけを紹介してはいない。個人的に一番興味深かったのが、被災地のタクシードライバーが幽霊を乗せるという論文だ。泣きそうになった。

世界が動いた「決断」の物語 新・人類進化史

最近読みやすい本ばかり読んでいたので、久々に目が滑る。和訳の文体って、どうも馴染まない感じがするのはなぜだろう、訳(やく)が悪いという訳(わけ)ではないんだけども。
自分も何度も、この本を閉じる決断をしようかどうか迷った。その決断が誤っているのかどうかをどう予測するのかは、この本を読めばわかるかもしれない。